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ペットの防災 〜ペットとの避難所生活や、今からできる災害対策を考えましょう〜

東日本大震災以降、災害対策を施している人は着実に増えたと思われますが、ペットに関してはどうでしょうか?飼い主にとっては家族同然とも言われるペットですが、そんなペットのために、災害時はどう避難するか決めてますか?基本マナーの勉強や、持ち出し品の準備は万全ですか? ペットのことは飼い主にしか守れません。この記事では『ペットと災害・避難』について特集してみたいと思います。ペットを飼っている方はもちろん、飼っていない方も、ペットと避難所で一緒になる可能性をふまえて、考えてみて頂ければと思います。

災害が起きる前に

まず大前提として、飼い主が無事であることが重要です。

家具の転倒防止等の対策は行っていますか? 屋内は、テレビや冷蔵庫、タンスなど、災害時に倒れこんでくる恐れがあります。

屋外に飼育している場合は、ブロック塀やガラス窓、倒れやすいもの・壊れやすいものを周囲においていませんか?

極力、リスクを排除するため、家具の転倒防止対策をしておきましょう。

突っ張り棒や、ガラス飛散防止フィルム等、
家具転倒防止にもたくさんの種類があります。

同行避難の原則



東日本大震災を受け、環境省によって平成25年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」が策定されました。

ガイドラインでは災害時のペットの扱いについては「飼い主の責任による『同行避難』が原則」とされ、飼い主はペットのために日頃から備え、また各自治体は、それを支援する立場で体制の整備に努めるよう要請されています。

また、「改正動物愛護管理法」でも、各都道府県が策定する「動物愛護管理推進計画」に災害時の対応について「記載」し、日頃から対策を検討しておくことが義務付けられました。

ただ、ガイドラインとは法律ではなくあくまでも「方針」であり、これをもとに各自治体がより望ましい対策を立てることを政府が「期待する」内容です。

改正動物愛護管理法も、行政側でどのような対策を立てていくかを記載することは義務付けられましたが、具体策を明記するようには定められていません。

したがって、現在は具体的な策は法律で定められておらず、判断は避難所を開設する市区町村の自主性に任されているのが現状です。

ガイドラインには「同行避難が原則」とありますが、そのガイドラインに則って避難所開設について議論が進んでいない地域では、避難所に受け入れる/受け入れないの判断も避難所ごとに対応がまちまちになるかもしれません。

各自治体の防災計画によって推進状況は異なるので、皆さんがお住まいの地域では災害時にどう行動するのが正しいのか、事前の確認が必要です。飼い主さんは一度問い合わせておくと安心です。

[コラム]
熊本地震の際、熊本県益城町の総合体育館の外には、ペット連れの被災者専用の大型テントが設置されていました。

中には犬・猫用フード、リード、ケージ 、ペット用のおやつなどの物資が運びこまれており、ペットと飼い主がテント内で一緒に寝泊まりすることも可能でした。

熊本地震被災者でペットを飼われている方は
車中泊で避難生活を過ごされた方が多数でした。

過去の災害から得られる課題

過去の大きな災害において、ペットが飼い主と離れ離れになってしまう事例は多数発生しました。

同行避難をせずにペットを置き去りにした場合、また、逃げてしまった場合は、保護するために多大な労力と人員・時間を要するだけでなく、その間にペットが負傷したり、衰弱・死亡してしまう恐れもあります。

また、避妊・去勢手術やワクチン接種を施していない動物が繁殖したり野生化したりすることで、地域住民の安全面や公衆衛生上の環境が悪化することも懸念されます。

同行避難は、動物が可愛いからだけではなく、このような災害後のさまざまな問題の発生を防ぐ側面もあるのです。

飼い主の方はこのことを忘れず、同行避難に備えて日頃からの対策が必須です。

飼い主ができること/すべきこと

「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」ではペットとの同行避難が基本となっているとはいえ、だからといって居住スペースや避難所の対応が飼い主の希望通りになるわけではありません。

老若男女、さまざまな人が共同生活を送る避難所でペットを飼育するとなると、動物が苦手な人やアレルギーを持っている人等、動物の避難所への受け入れに否定的な人への特別な配慮が求められます。

また、ペットの方も普段の環境とかけ離れた生活は大きなストレスになります。

ペットと人間双方にとって、避難所での生活がストレスやトラブルの原因となってしまうかどうかは、飼い主の意識と、日頃からの備えに大きく左右されます。

いざという時の為に、今からペットの為にできることはやっておきましょう。

健康管理

・必要なワクチン接種(避難所内での人間・ほかのペットへの感染等を防ぐ)
・不妊・去勢手術(不要な繁殖を防ぐ)

ペットのしつけ

・無駄吠えしないよう訓練する。
・決められた場所で排泄ができるようにする。
・ケージやキャリーバッグに慣らす。
・人やほかの動物を怖がらない社会性を身につかせる。
(災害時でなくても、普段から必要な基本的なマナーです。特に避難所では様々な人・動物が集まるので、お互いにストレスにならないよう日頃から練習しましょう)

迷子対策

・マイクロチップの埋め込み
・首輪への情報記載・所有者明示
・ペットの写真
(もしはぐれてしまった時の為に対策を施しましょう。災害時の混乱の中ではペットの捜索も通常時以上に困難となります)

避難所や避難ルートの確認

ペットがいなくても必要な確認です。災害時に慌てなくて済むように通常時から情報を確保しておきましょう

遠隔地に預けられる場所の確保

避難所に入れない等、離れて暮らさなければならない可能性も想定しましょう。遠くの親戚や知人等にあらかじめお願いしておくと良いです

ペット用の避難用品や備蓄品の確保

優先順位を決めて、避難時に持っていけるようにしましょう。ペット用の物資は避難所に蓄えられていません。支援物資も交通網が回復するまで期待できないので、数日から数週間分を飼い主が予め用意するしかありません。

<リスト>
療法食、薬
フード、水(1週間分程度)
予備の首輪、リード
使い慣れたキャリー・ケージ
食器
飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の緊急連絡先・預かり先などの情報のメモ
ワクチン接種状況、既往症、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報のメモ
ペットの写真(携帯電話に画像を保存することも有効)
ガムテープ(ケージの補修など多用途に使用可能)

あんしんの殿堂防災館スタッフは

あんしんの殿堂 防災館のスタッフも犬・猫を飼うスタッフが多かったので、日ごろ、どのような意識を持っているかを調査しました。

起きて欲しくない災害ですが、地震があった時、火災があった時、津波が起きた時……など日本に住んでいる以上は、万が一のことを想定して、どのように行動すればよいか考えなくてはなりません。

ネットショップ課長 峯尾
我が家の柴犬(♀)は13歳と高齢で、足腰の衰えから寝たきりになっています。ケージでおとなしくしているとは思いますが、排泄もケージ内でしますし、時々吠えますので避難所での共生は不可能。自宅かペット避難所に預けて世話に通う事になると思います。ペット用のシーツとエサは常時大目に用意しています。

あんしんの殿堂 防災館 yahoo店 店長 根岸
うちの猫は尿結石なので、ご飯は限られたものとなってしまいます。災害時ご飯が食べられなくならないよう、必ず1か月分多くストックするようにしています。

あんしんの殿堂 防災館 楽天支店 店長 奈良部
元野良猫ですが今は完全に室内飼いで、はぐれたらおそらく一人で生きていけないと思われるので必ず一緒に避難します。アパートが損壊して戻れず、避難所にも入れない、実家にも帰れない場合は仕方ないので車中泊も視野に入れています。自動車は好みますが、キャリーケースを非常に嫌がるのでおとなしく入っててもらえるよう現在訓練中です。

Webデザイナー 秋山
寒い日は部屋の中で過ごすこともありますが、もともとは野良猫なので、外での生活が基本です。寝床は外にあり、外の方が落ち着くみたい。1日中屋内での生活には慣れていないので、もし家が全壊してしまい家族全員避難所生活になった場合、クロも一緒に避難…となると不安が残ります。

Webデザイナー 羽澤
万が一に備えて、キャリーに入る訓練をしております。ずっとキャリーに入っていると犬も不安になると思うので、ドッグスリングバッグも用意しています。手作りの食事をいつも与えているので、災害時用にドッグフードにも慣らさなければと思います。雷に怖がる犬なので、地震が起きた時のストレスが心配です。

まとめ

飼い主がきちんと準備をして、ペットも大人しくしている姿勢を見せることで、動物が苦手な方の心配も和らぎ、受け入れやすくなるのではないでしょうか。

飼い主自身の精神面にもメリットとなると思います。

まずは「同行避難」を前提として、地域の為、ペットの為、そして飼い主自身の為にも、ペットとの避難について、日頃からの備えを進めましょう。